鹿児島県の南東部に位置する肝付町。

10月の第3日曜日、ときおり冷たい風が吹き抜ける馬場。
藩政時代当時の生垣や石垣の名残を残す通りで、
鮮やかな色合いのあやい笠に狩衣装束を身にまとった射手が、神馬にまたがり馬場を疾走していく。

900年の歴史絵巻がいま、大衆の面前で繰り広げられる。
爪音を響かせ走り出した神馬の馬上から、五穀豊穣、悪疫退散の祈りを込めた一矢が放たれる。
矢は乾いた音を立て、的をとらえた。

勇壮に走り抜けた跡に、残ったのは朝靄の様に薄く輝き舞う土煙。

あたりに滝の如く歓声がたち込めた・・・。
※2

日本各地で行われる流鏑馬ですが、肝付町の流鏑馬の射手は全国でも珍しい、まだあどけなさが残る中学2年生の少年です。

練習期間は約一か月。
初めて馬にまたがり、馬上で弓矢を射る練習をします。

本番当日は、武家屋敷の佇まいを残す通りを、供の者と練り歩く『武者行列』。
少年が神の信託を受ける『弓受の儀』。

神聖な儀式を経て、いよいよ流鏑馬が始まります。
※3

馬場の長さはおよそ330m。
一回馬場を走る毎に三矢を放ち、これを三回繰り返します。

見事、的に的中させれば、その年の厄は払われ安泰に過ごすことができるといういわれがあり、
的に矢が当たると大きな歓声が上がります。
毎年行われている流鏑馬ですが、2018年は10月21日(日)に開催。

肝付町の、小さいながらも、艶やかでかつ力強さのある流鏑馬をぜひご覧にお越しください。

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