エメラルドグリーンの海と600年の歴史

ご存知ですか?鹿児島県肝付町岸良には、600年以上の歴史を持つ伝統行事。

今回は、美しいエメラルドグリーンの海と神秘的な伝統行事「ナゴシドン」をご紹介します。

鹿児島県南東部に位置する肝付町岸良地区には、古くから伝わる伝統行事「ナゴシドン」があります。この行事は一般的には『夏越祭』や『夏越の祓』と呼ばれ、神社や神宮で行われる神事ですが、肝付町のナゴシドンは他と一線を画す特徴を持っています。ナゴシドンは、エメラルドグリーンの美しい海を背景に、白く輝く砂浜で執り行われるため、その風景は一度訪れた者の心に深く刻まれます。
過去の様子

ナゴシドンの始まり

ナゴシドンは、600年以上の歴史を持つ伝統行事で、地域の人々にとって重要な節目の儀式として大切にされてきました。
この行事は、神々に対して地域の平和と繁栄、そして無病息災を祈願するために行われます。また、過去の穢れを払い、新たな一年を清らかに迎えるための重要な神事でもあります。

平田神社から岸良海岸への行進

ナゴシドンは、まず平田神社での神事から始まります。ここでは、三体の祭神を神面に宿し、岸良海岸まで移動します。この移動の行列は、笛や太鼓の音色に包まれ、昔懐かしい造りの家々や青々とした田園風景の中を進みます。この光景は、日本の原風景そのものであり、訪れる人々にとっても心に残る瞬間です。

行進中、参加者は神聖な空気を感じながら、地域の歴史と文化に触れることができます。
道中では、地元の人々が沿道に立ち、行列を見守りながら手を合わせる姿も見られ、地域全体が一体となって行事を支えている様子が伺えます。



岸良海岸での神事
岸良海岸に到着すると、まず『汐がけ』という儀式が行われます。この儀式では、海水を使って神面を清め、海神を宿すという意味があります。清らかな海水が神聖な力を持ち、神事をさらに厳粛なものにします。

神舞の詳細

その後、いよいよ見所の神事『神舞』が披露されます。この神舞は、地域の安泰と五穀豊穣を祈願するために行われ、以下のような舞が演じられます

  • 浦安の舞 - 平和を祈る舞。舞手たちが優雅な動きで、神々に対して平和と安寧を願います。しなやかな動きと美しい衣装が、観客を魅了します。
  • 山の神舞 - 四方に矢を放ち、勝利を呼び寄せる舞。この舞では、矢を放つことで邪気を払うとともに、地域の繁栄と安全を祈願します。力強い動きと緊張感が漂う舞です。
  • 薙刀舞 - 薙刀を大きく回し降り、悪を打ち払う舞。舞手たちが力強く薙刀を振るい、悪霊や災厄を打ち払います。迫力ある動きが見どころです。
  • 十二人剣舞 - 舞手たちの息のあった振りが見事な剣舞。十二人の舞手が剣を使い、一糸乱れぬ動きで神聖な舞を披露します。連携の取れた動きと剣の煌めきが印象的です。

これらの舞が神面三体の前で披露されることで、地域の安泰と五穀豊穣が祈願されます。
神舞の一つ一つは、それぞれ異なる意味を持ち、全てが組み合わさることで地域全体の繁栄と平和を祈るという大きな目的が達成されます。

茅の輪くぐり

観客も参加できる『茅の輪くぐり』は、ナゴシドンの中でも特に人気のある儀式です。茅で編んだ縄を四方に張り、その下をくぐることで、それまでの穢れを落とし、その後の無病息災を祈ります。この儀式は、古くからの日本の風習であり、訪れる人々にとっても特別な体験となるでしょう。

ナゴシドンの歴史と未来

ナゴシドンの歴史は600年以上にわたり、肝付町の人々にとって大切な伝統行事として受け継がれてきました。この行事は、地域の人々の絆を深め、自然との調和を大切にする心を育む場でもあります。しかし、少子高齢化や地域の過疎化に伴い、伝統行事の存続が危ぶまれることもあります。
そこで、平成28年度からは町内外から広く“つなぎ手”の募集も行っています。地元の人々だけで行っていた運営や舞手を、全国各地から広く募ると同時に、岸良をじっくり味わってもらうという取り組みです。毎年全国各地から“つなぎ手”希望者が集まり、地域の文化を継承する手助けをしています。
ナゴシドンのつなぎ手実行委員会

ナゴシドンの体験

ナゴシドンは、観光客として訪れるだけでなく、つなぎ手として参加することもできます。
つなぎ手として参加することで、岸良の伝統文化を直接体験し、地域の一員として行事に関わることができます。
また、現地に訪れると、地元の方々の温かいおもてなしや、参加者同士の交流を通じて、地域の歴史や文化について学ぶ機会も多く得られます。

まとめ

ナゴシドンは、鹿児島県肝付町岸良地区の伝統行事として、地域の人々に愛され続けてきました。
エメラルドグリーンの海と白い砂浜、昔ながらの家々や田園風景の中で行われる神事は、訪れる人々にとって特別な体験となります。
観光客として訪れるのも良し、つなぎ手として参加するのも良し。
岸良でしか体験できないナゴシドンは、皆さんの心に深く残ることでしょう。
ぜひナゴシドンに触れ、鹿児島県肝付町の魅力を存分に味わってください。

追加情報

  • 住所:鹿児島県肝属郡肝付町岸良
  • 電話番号:0994-67-2888(肝付町観光協会)
  • 開催日:毎年8月14日
  • 会場
    平田神社:〒893-1511 鹿児島県肝属郡肝付町岸良652−7
    岸良海岸:〒893-1511 鹿児島県肝属郡肝付町岸良1184
  • 交通アクセス
    車:笠之原ICから約1時間、垂水フェリーから約1時間半、鹿児島空港から約2時間(高速使用の場合)
  • 駐車場:岸良海岸
  • ホームページ肝付町観光協会ホームページ
  • ナゴシドンのつなぎ手(公式サポートサイト)公式サイト
  • 主催:ナゴシドンのつなぎ手実行委員会