飛鳥時代の遺跡を探訪

ご存じですか?奈良県明日香村の石舞台古墳。
今回ご紹介するのは、飛鳥時代の象徴的な遺跡、石舞台古墳です。


古代日本の謎と魅力
奈良県明日香村に位置する石舞台古墳は、飛鳥時代の象徴的な遺跡の一つです。この巨大な古墳は、その壮大さと謎めいた歴史から、多くの観光客や歴史愛好者を魅了しています。

今回は、この石舞台古墳の魅力に迫り、その背景にある歴史や文化について詳しく紹介します。

石舞台古墳の概要

石舞台古墳は、7世紀初頭に築かれたとされる横穴式石室古墳で、国営飛鳥歴史公園内の石舞台周辺地区の中央に位置し、わが国最大級の方墳として知られています。
墳丘の盛土が全く残っておらず、巨大な両袖式の横穴式石室が露呈しているという独特の形状が特徴です。
これは古墳の本来の形状を形成するための土がすべて失われていることを意味します。
古墳は通常、土を盛って作られる墳丘の上に石室が設けられるのが一般的ですが、石舞台古墳の場合、その土が全てなくなってしまい、石室だけが露出している状態になっています。
また、天井石の上面が広く平らで、まるで舞台のように見えるその形状から「石舞台」と呼ばれています。

横穴式石室古墳とは?

横穴式石室古墳は、埋葬室(石室)が地面に横方向に掘られたもので、墓室に入るための通路(羨道)を持つ構造が特徴です。
以下に、横穴式石室古墳と通常の古墳との違いを説明します。

横穴式石室古墳の特徴

  • 石室の構造:横穴式石室古墳は、地面に横方向に掘られた石室を持ち、入口から羨道を通って内部に入ることができます。
    石舞台古墳のような巨大な石を用いて構築されることが多く、石室自体が頑丈で長持ちします。
  • アクセスのしやすさ:石室が横方向に掘られているため、埋葬後でも比較的簡単にアクセスできます。
    これにより、後の時代に再利用されたり、追葬が行われることがありました。
  • 文化的背景:横穴式石室古墳は、主に6世紀から7世紀にかけて日本各地で造られました。
    特に九州地方や関東地方で多く見られ、豪族たちの権威を示すために築かれたと考えられています。

通常の古墳の特徴

  • 前方後円墳:日本の古墳時代(3世紀から7世紀)に多く見られる前方後円墳は、前方部と後円部からなる独特の形状を持っています。これらの古墳は、主に天皇や貴族、豪族の墓として築かれました。
  • 竪穴式石室:通常の古墳では、竪穴式石室が一般的でした。竪穴式石室は、地面に縦方向に掘られた埋葬室であり、一度埋葬されると再びアクセスするのが困難でした。これにより、埋葬された遺体や副葬品が守られることが目的でした。

石舞台古墳の魅力

1. 壮大な石室

訪れる人々を圧倒するのは、その巨大な石室です。
内部に足を踏み入れると、古代の工匠たちの技術と労力を感じることができます。
30数個の岩の総重量は約2300トンで、特に天井石は約77トンという重さがあります。
このことから、造られた当時の優れた土木・運搬技術の高さがうかがわれます。また、石室の中は夏でも涼しく、独特の雰囲気を醸し出しています。

2. 美しい自然環境

石舞台古墳は、美しい田園風景に囲まれています。
四季折々の風景と共に、古代の歴史を感じながら散策するのは、訪れる人々にとって格別の体験です。特に春には桜が咲き誇り、秋には紅葉が美しい彩りを添えます。

3. 歴史と文化の融合

石舞台古墳周辺には、飛鳥時代の他の遺跡や古代建築が点在しています。飛鳥寺(法興寺)や、甘樫丘、高松塚古墳などです。
これらを巡りながら、当時の日本の文化や生活様式を学ぶことができ、より深く歴史に触れることができます。

謎めいた建造者

被葬者は明らかではありませんが、7世紀初頭の権力者であり、大化の改新で滅ぼされた蘇我入鹿の祖父でもある蘇我馬子の墓ではないかといわれています。
1933(昭和8)年~35(昭和10)年の発掘調査では、方形の墳丘、堀、外堀が存在することや、6世紀代の小古墳を壊して築造されていたことが確認されました。これらの調査結果から、築造は7世紀初め頃と推定されています。

過去の文献に見る石舞台古墳

石舞台古墳は古くから、墳丘上部の封土を失い、石室の天井石を露出させていたようで、各種の文献にそうした意味の記述を見ることができます。
1772(明和9)年、本居宣長の「管笠日記」にもその記述があります。
それに拠ると、石舞台古墳は、石舞台古墳の南に位置する都塚古墳と対として意識され、それぞれ推古・用明という各天皇の伝承を持っていたようです。
1829(文政12)年の津川長道の「卯花日記」では、蘇我馬子の墓ではないかという考察が加わっています。
1848(嘉永元)年の暁鐘成の「西国三十三所名所図会」の中ではイラストとともに、高さおよそ2間(約3.6m)、周囲およそ10間(約18m)で、天武天皇を仮に葬り奉った場所と伝えられている、という意味のことが記されています。

観光情報

  • 営業時間:9:00~17:00(受付16:45まで) ※令和5年(2023年)10月改定
  • 休業日:年中無休
  • 入場料:一般 300(250)円、高校生~小学生 100(50)円 ※()は団体料金(30名以上)
  • アクセス:バス停「石舞台」下車して徒歩3分
  • 駐車場:あり(有料)
  • 所在地:奈良県高市郡明日香村島庄133
  • お問い合わせ先:飛鳥観光協会 0744-54-3240

まとめ

石舞台古墳は、古代日本の謎と魅力が詰まった素晴らしい観光地です。
壮大な石室、美しい自然環境、そして飛鳥時代の文化を感じることができるこの場所は、訪れる人々に忘れられない体験を提供します。ぜひ一度、奈良の歴史を体感しに訪れてみてください。
石舞台古墳の公式情報